ここまでで歯が唇と頬と舌の力のバランスでちょうどよい位置に落ち着くことがわかっていただけたと思います。歯並びを良くするため位には、体幹の筋肉を発達させ、姿勢をよくし、鼻で呼吸し、舌先をスポットに付けることです。口唇の筋肉である口輪筋、舌の筋肉である舌筋、そして頬の筋肉も鍛える必要があります。これらの筋力が弱かったり、個々の筋力に差があったりすると、内外側から歯を押す力が正しく働きません。その結果、歯が正しい位置には来なくなります。
個々の歯は正しい位置に落ち着いたとしてもそれで安心というわけではありません。全ての歯が正しい位置に並ばなければ、八重歯や乱杭歯などといって乱れた歯並びになってしまうからです。八重歯や乱杭歯は歯の大きさに比べて顎が小さく、歯が並びきらないため位に生じます。十分な顎の大きさがあれば例え人並み以上に大きな歯であってもきれいに並ぶのです。
現代人は昔の人と比べて小顔になる傾向にあります。といっても、頭蓋骨のサイズが小さくなっているのではありません、顔の下半分が小さくなり、小顔といわれる状態になっているのです。顔の下半分の大きさは顎の大きさで決まります。そうです、顎が小さくなっているのです。昔と比べて軟らかくてすぐに食べられる食物が増加したことで顎が発達しなくなっている、すなわち退化してきているのです。
小顔の方が見た目はよいかもしれませんが、歯並びはどうしても悪くなり、健康的とはいえません。よく噛んで顎を発達させ、歯が十分に並ぶような大きな顎を作ることがきれいな歯並びを作るためには必要なのです。よく噛むことは口輪筋や舌筋を発達させることにもなります。よく噛むことが大事だといって、草加せんべいのような硬いものをバリバリと噛む訓練が必要というわけではありません。野菜のように軟らかくても線維の多いものは何度も噛まなければ食べられません。このように回数を掛けて噛む必要がある食べ物をメニューに加えればよいのです。
MENU
|